介護業界の本質的な問題

介護業界では人材不足や低賃金の問題が発生しているとよく指摘されます。しかし、それらの深い部分までのことは意外と知られていないのではないでしょうか。例えば、介護職員はここ10年ほどの間に3倍にもなっています。介護職員の数は確実に増えているということなのです。そうであるにも関わらず、介護業界で人材不足に悩んでいる事業所が多いのは介護職員の増加ペースよりも高齢化の進行の方が早いということになります。加えて以前よりも介護施設の利用を検討する方の割合自体が増えています。かつて介護施設への入居を検討する方の割合は決して大きくありませんでしたが、今では介護施設に入居する方の割合は高くなってきています。そのため、ますます介護職員の数を確保する必要性が高いと言えるでしょう。

介護施設で支払われる賃金にも変化が見受けられます。ここ10年ほどで平均賃金は1万円以上上がっています。他の業界がそれほど賃上げを実行できていないケースが多いことを考えると、介護分野の待遇改善が図られていると言えるかもしれません。しかし、介護職員への賃金はそもそもが低めになっていることや大きく昇給することが少ないことを考えると、待遇的に厳しいものがあることは変わっていないと言えるでしょう。今後ますます人材不足になることを踏まえれば待遇面を改善することが求められます。ところが民間の介護施設には賃上げを実行する余裕がありませんので、民間だけでなく国や自治体の支援が問題解消のカギを握っています。